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頻度は確立していない。糟神遅滞以外に、大きな耳介や下顎突出、巨大こう丸などの徴候があるが、乳幼児でははっきりせず、診断には葉酸欠乏培地下でのX染色体長腕の脆弱部位出現が用いられてきた。
脆弱X症候群の遺伝子異常として、FRAXA2〉3)とE4)の2種類の異常が判明している。いずれも、一部、点変異による発症も報告されているが、ほとんどの症例において、各病因遺伝子上のCGG/GCCリピートが著明に延長することが発症に関与しており、世代を経る毎にそのリピート延長の程度が増大し、症状が増悪していくことが示されている。
脆弱X症候群の診断には、低年齢では糟神遅滞以外の臨床徴候が著明でないため、染色体または遺伝子のスクリーニングが必要となる。しかし、染色体検査では、X染色体の脆弱部位が検出されない例もあり、また逆に偽陽性として脆弱部位が出現する例もあるなど、検査の信頼性に問題がある。よって、脆弱X症候群の診断には遺伝子診断が必須である。しかし現在主として用いられているサザン解析による診断は、プローぺのラペルに放射性同位元素を便用し、操作も煩雑で時間もかかる。そのため、原因不明の発達障害児のスクリーニングとして行うには不適当であり、その方法をめぐって様々な報告がなされている。PCR法は、必要とするDNA量もごくわずかで、操作も簡便であり短時間で結果が出るためスクリーニング方法としては最適であるが、問題点として、?@増幅する部位が、CGG/GCCリピートを含むGCrichな部位のため、安定して増幅することが難しい、?A正常bandが検出できれば脆弱X症候群でないといえるが、bandが無い場合に、患者なのかそれともPCR自体の失敗なのかの鑑別が難しく、サザン解析が必要となる、などがある。そのため、labelled PCRにより患者の延長bandもPCRで検出する方法など、いくつかの方法が報告されている。
われわれは、従来のTaqDNApolymeraseよりも熱安定性が強く、正確性が

 

 

 

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